福岡地方裁判所行橋支部 昭和43年(ワ)17号 判決
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〔判決理由〕<証拠略>を総合すれば、被告照雄は被告安弘、同勝の父であつて、本件事故当時、被告らは照雄のもとに同居し、家族が共同して事業及び材木運搬の業務に従事し、主として右営業による収入で生活していたもので、被告照雄は右営業を含む社会生活全般につき一家の責任者として行動していたこと、本件加害者の所有者は被告安弘であつたが、被告照雄も家族の一員として、前記家業に従事し、右自動車はその営業のために使用されていたことが認められる。
右の事実関係によるときは、右自動車の所有者である被告安弘はもとより、一家の責任者として営業を総括していたものと目すべき被告照雄も右自動車の運行について指示製禦をなし得べき地位にあり、かつその運行による利益を享受していたものということができるから、ともに右自動車を自己のために運行の用に供していたものというべきである。
<証拠略>を総合すれば、亡国夫はその家族と共同して農業を営み、水田一町二反歩、畑二畝一歩を耕作し、米、麦、疏菜、葉煙草を収穫して、これを売却又は収納し昭和四二年度において、米代金四五万三、五〇四円、麦代金七万六、〇二八円、疏菜代金三二万三、七五四円、葉煙草の収納代金七三万四、九二八円の収入をあげていたこと、更に亡国夫は農閑期には県行造林の下苅及び林造工事の土木工事に従事し、年間平均九万円の収入を得ていたこと、従つて年間平均収入は合計金一、六七万八、二一四円であつたこと<以下略>。
ところで昭和四二年度における農業経営の必要経費としては、肥料及び農薬代として合計七万五、七八五円、白燈油及び重油として七、二〇〇円、農器具費として三、〇〇〇円、田植時における労費(八人役女一人一日八〇〇円)として六、四〇〇円、葉煙草の乾燥と結束(二五人役、女一人一日七〇〇円)として一万七、五〇〇円、葉煙草乾燥のためガス代として四万二、〇〇〇円、煙草の苗代四、八〇〇円、行橋たばこ耕作組合に対する賦課金及び資材代金として一万二、〇〇〇円、税金として三万八、三六〇円を支出したこと、従つて同年度における農業経営の必要経費は合計金二二万三、八四〇円であつたことが認められる。
<証拠説明略>
そして右認定の事実と当裁判所における現在の農業収益状況と総合すると、亡国夫が生存していたならば、例年右認定の程度の収益はこれをあげ得たものであると認められるので、亡国夫が将来においてあげ得た年間収益額は、右認定の額であるというべきである。
また<証拠略>を総合すると、亡国夫には両親、妻、子供三人があり、学費の負担が加わる反面、被害者一家は農業に従事し、自分達で生産した米、野菜等を食べているので、一家の生活費用は月平均二万円程度であつたと認められこの認定を動かすに足る証拠はない。従つてその年間の生活費は合計二四万円である。従つて右被害者一家の年間純益はその差額である一二一万四、三六八円となる。
ところで亡国夫は被害者一家が従事する農業の主宰者であつたこと及び両親及び妻が農業に従事していたことから、一家の労働総収益に対する寄与率を五割とみて算定すると、亡国夫の年間逸失利益は六〇万七、一八四円となる。
(内園盛久)